高齢者の入院で起きる「せん妄」とは? 現役医師が解説

高齢者は、身体機能が落ちているので病気になりやすい。

また、病気と戦う力も落ちており、結果的に入院となることも多い。

ただし、高齢者は入院するとほとんどの方が、せん妄になってしまう。

今回は、せん妄(もう)について解説する。

せん妄とは…

特に高齢者は、せん妄になりやすい。

せん妄とは、入院や病気などのストレスによって、特に夜間に混乱してしまうことだ。

せん妄になると、自分が病院にいて治療中ということが理解できない。

よくある間違いだが、認知症とはまったく別物である。  

退院して自宅に帰ったら、せん妄はなくなるのだ。    

せん妄になると医療行為が難しい

自分がおかれている状況が分からないため、不快なことはすべて拒否的になる。

点滴の針や、尿の管を自分で引っこ抜いてしまったりしてとても危険だ。

さらなる悲劇が…

病気の都合上、ベットから離れるのを禁止されてても、勝手に離れてしまう。

そして転倒して怪我をすることもある。

打ちどころが悪ければ、骨折したり頭の中に出血を起こしたりする。

原因は本人のストレス

せん妄になる理由として、本人のストレスが一番大きい。

病気でしんどいだけでなく、普段と異なる環境にうまく対応できない。

そしてせん妄で暴れたり、うまく医療処置ができなければ、治療が遅れてしまって、よりストレスが増えていく。

せん妄では暴力行為も

せん妄になると、本人は混乱状態になるので、処置をされていても暴れてしまって、看護師や医師などを殴ってしまうこともある。

また、朝になると落ち着くことが多いが、この時には夜間に暴れていたことの記憶がないのもせん妄の特徴だ。

本人には悪気はまったくないのだろうが、暴力行為を受ける医療者も大変だ。

しっかり寝てもらう

せん妄の対応としては、ストレスにならないように、しっかりと休んでもらうことが大切だ。

病院では睡眠薬や、あまりひどい場合は抗精神病薬などを使うこともある。

早く治療し早めに退院

ストレスを出来るだけかけないようにするために、病気を早く治療するのも大切だ。

また、入院期間が長くなるとストレスもかかりやすいのでせん妄が悪化することが多い。

入院の原因となった病気が治れば、早めに退院するのがおすすめだ。

執筆者:あやたい

医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。

日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。

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