“魔法少女アニメ”なぜ多いのか? ルーツはあの米ドラマ
女の子が主人公のアニメって魔法少女がやたら多いと思いませんか? 特に昭和時代は、女の子が主人公のアニメといえば魔女の印象が強いです。これはなぜでしょう? 調べてみました。
テレビがまだ白黒放送だった時代の1966(昭和41)年、アメリカで人気のホームドラマが日本で放送され大ヒットします。タイトルは『奥様は魔女』(日本語吹替版)。
広告代理店に勤めるスティーブンスとその若奥様サマンサ。でもその奥様は魔女だったのです。ふたりの新婚生活で巻き起こるさまざまなトラブルに、サマンサが魔法で解決したり、また騒動が起きたり、というコメディでした。
サマンサが唇を左右に動かし「チロリロリン!」という音が鳴ると魔法がかかるシーンを、特に女の子がマネしてはやりました。当時のテレビドラマで、愉快で楽しい女性が主人公という番組は珍しかったこと、さらに不思議な力で男性をも翻弄(ほんろう)させる痛快さがヒットのポイントでした。
この『奥様は魔女』のヒットにアニメ界が素早く反応。女の子が主人公というアニメはまだなかったため、“魔女”という女子オンリーのファンタジックなキャラ設定に目をつけたのです。
そして‘66年12月、東映動画(現東映アニメーション)が日本初の魔法少女アニメ『魔法使いサリー』(原作・横山光輝)をスタートさせます。ターゲットは女の子でしたが、かわいいサリーは男子にもウケて大ヒットし‘68年まで2年間放送されました。
その後、東映はシリーズ的に魔法少女作品を打ち出します。
『ひみつのアッコちゃん』、『魔法のマコちゃん』、『さるとびエッちゃん』(※魔法ではなく忍術を使う少女)、『魔法使いチャッピー』、『ミラクル少女リミットちゃん』、『魔女っ子メグちゃん』……と、‘80年代まで9作品続けて制作。
魔法の呪文を唱えるときに使うアイテムを中心に、おもちゃ、グッズは飛ぶように売れたことから経済効果もかなり高かったと思います。約15年続いたこのシリーズで「女の子ヒーローといえば魔女」が日本国民の定番としてインプットされました。
不思議な力を使う女の子主人公を広い意味で魔女とくくるならば、変身ヒーロー要素を加え、悪に立ち向かう強さとセクシーな容姿が魅力的な『キューティーハニー』を筆頭に、バトル系アニメも増えていきました。
『美少女戦士セーラームーン』はその流れを受け継いだ大ヒット作と言えます。このような、かわいくてお色気要素も含む魔法少女は女子だけでなく男子の目も引きつけたためファン層が広がりました。‘90年代からは、いわゆる「おたく文化」の一端を担ったでしょう。時代が移りゆく中で魔法少女番組も変貌を遂げ現代へ受け継がれているわけです。
特撮でも『コメットさん』、『透明ドリちゃん』、『美少女戦士ポワトリン』など多くの魔女が女の子ヒーローとして輝きました。子ども向け魔法少女系の番組作品数は約55年で100タイトル以上に及びます。
女の子が必ず通る憧れの王道「魔法少女」。
そのきっかけはアメリカの人気ドラマ『奥様は魔女』でした。サマンサの一番すごい魔法は、「アニメで日本中の女の子を魔女のとりこにしたこと」。この魔法はまだ解けていません。あなたが好きな魔法少女は誰ですか?
(石原久稔)
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