ワールド・ベースボール・クラシックの「クラシック」って?

侍ジャパンの世界一が期待される第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)が2023年3月8日からスタートします。

ところで素朴な疑問です。
大会名はなぜ「クラシック」なのでしょう。世界大会ならサッカーのような「ワールドカップ」、あるいは「ワールドチャンピオンシップ」がポピュラーだと思いませんか? 

疑問に思ったので調べてみました。

まず言葉の意味です。日本語で言う「クラシック」は「古典的・古い」という意味が強いのでWBCは「古典的な世界野球大会」になります。でもなんかしっくりきませんね。

そこで英単語の「classic」で調べました。「上流階級の・最上級の」という意味が先に出てきて、「古典的・古い」は意味が薄いそうです。

つまり、WBCは「世界最上級の野球大会」という意味になるのでしょう。これで合点がいきました。

では、どうして世界大会に「クラシック」と付けたのでしょう?

 WBCはメジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会が立ち上げたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)という団体が主催していますが、MLBの大きなイベントに「クラシック」の俗称が付いているのをご存じでしょうか。

・夏のオールスター俗称「ミッドサマークラシック」

・秋のワールドシリーズ俗称「フォールクラシック」

これには、「最上級」の意味があります。つまりWBCも、国際大会に最上級の格式があるという意味を込めて「ワールド・ベースボール・クラシック」と銘打ったのだと思われます。

ベースボールをもっと世界に広めるために

WBCは今年で5回目です。野球の世界大会ですが、本戦出場は20カ国、予選参加国を含めても32カ国しかありません。知らない人も多いかもしれませんが、日本では人気の野球も世界的にはマイナーなスポーツなんです。

ちなみに、2022年に発表された世界のスポーツ競技人口ランキングTOP5は…

1位 バレーボール 約5億人

2位 バスケットボール 約4億5000万人

3位 卓球 3億人以上

4位 クリケット 約3億人

5位 サッカー 約2億6000万人

野球は約3000万人で8位でした。少しずつ世界に広がりを見せていますが、ヨーロッパやアフリカ圏では普及が遅れているとか。野球は道具がたくさん必要というのがネックなようです。

 マイナースポーツの野球はこのような世界大会を開いて競技人口を増やすことが目的のひとつです。MLBでは、1990年代後半から選手の多国籍化が進みました。
日本では野茂英雄さんの活躍をきっかけに多数の選手が、そして韓国など東アジア出身の選手や北中米出身の選手が急増しました。そこで2000年に入ってから野球の世界進出を本格的に始動します。
 2008年にMLBの開幕戦を日本で開催していますし、中国やインドなどへ指導者の派遣や道具の提供を行い裾野の普及活動を行っています。

こうしたMLBの国際化をきっかけに、2006年第1回WBCの開催に至ったわけです。

ひねくれた見方をすると、世界の野球人口を増やしてスター生み出しMLBへ呼び込もうという壮大な事業の一環です。とはいえ、たくさんの若者に夢を与える計画であることには間違いありません。

 コロナの影響で2021年の開催予定が延期になり、いよいよ今年3月、火ぶたが切って落とされる第5回WBC。侍ジャパンが最上級のパフォーマンスで、三度世界一に輝くことを期待しましょう。

(石原久稔)

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