
「ストレスだから大丈夫」は危険! 春の胃腸トラブル、内視鏡専門医が教える”見逃してはいけないサイン”
新しい職場、新しい学校、新しい街——4月は変化の季節だ。しかしその裏で、胃の痛みや下痢、原因不明の腹部不快感に悩む人が静かに増えている。「どうせストレスのせいだろう」と自己判断して受診を先送りにしてはいないだろうか。消化器外科・内視鏡専門医として数多くの患者を診てきた広島DS内視鏡・日帰り手術クリニック院長、藤解邦生先生に、春の胃腸トラブルの正体と”本当に危ないサイン”を聞いた。
春の外来で目立つ「機能性疾患」の急増
4月前後の診療現場では、胃もたれ・みぞおちの痛み・腹痛・下痢・便秘といった症状を訴える患者が増加すると藤解先生は言う。特に目立つのが、内視鏡検査を行っても明らかな異常が見つかりにくい「機能性疾患」だ。
「背景には進学・就職・異動などによる精神的ストレスや生活リズムの変化が大きく影響しています。さらに春は歓迎会などで飲酒や外食が増え、食事時間も乱れやすい。寒暖差による自律神経の乱れも重なり、胃腸の運動機能が低下することで、胃もたれや腹部不快感が起きやすくなります」(藤解先生)
一見「よくある胃腸不調」に見えるこれらの症状だが、内視鏡専門医の目線では単純に見過ごせない側面もある。
“ストレスだから”と決めつけてはいけない理由
腹痛・下痢・胃もたれは、ストレス関連の機能性疾患だけでなく、胃がん・大腸がんなどの器質的疾患でも現れる症状だ。
藤解先生が特に注意を促すのが次のような「警告症状」だ。
・黒色便・血便が出る
・原因不明の体重減少がある
・貧血を指摘されたことがある
・夜間に目が覚めるほどの強い腹痛がある
・食欲低下・飲み込みづらさが続く
・便の状態が急に変わった(便が細くなった・便秘と下痢を繰り返すなど)
「こうした症状がある場合は『様子を見る』のではなく、早めに消化器専門医を受診し、内視鏡検査を受けることが重要です。特に40~50歳以降で新たに症状が出てきた方、家族に消化器がんの既往がある方は、より積極的に検査を検討してほしいと思います」
早期発見できれば、内視鏡治療など体への負担が少ない方法で治療できるケースも多い。だからこそ、危険サインを見逃さないことが命を守ることに直結するのだ。
内視鏡で「異常なし」でも症状が続くときは?
内視鏡検査を受けて異常がなかった場合、それはむしろ安心の根拠になる。
「意外ですが、内視鏡で問題ないとわかった途端に症状が軽くなる患者さんは少なくありません。その上でも症状が続く場合は、機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)を考えていきます」
こうした機能性疾患には、消化管の運動機能の乱れやストレス・自律神経のバランスが複合的に関与している。薬物療法と同時に、藤解先生が強調するのが「食事の見直し」だ。
「カフェインをやめたら胃もたれが治った、ヨーグルトをやめたら腹痛が治まったというケースを何人も診てきました。原因は人それぞれですが、普段何気なく口にしているものが胃腸の不調をもたらしていることは思った以上に多いです」
特に胃腸に負担をかけやすいものとして、藤解先生が挙げるのは次の食材・飲み物だ。

揚げ物・高脂肪食/全脂乳製品(アイス・チーズなど)/チョコレート/コーヒー・エナジードリンクなどカフェイン飲料/アルコール全般
どれもが「当たり前に摂っているもの」だからこそ、一度見直してみる価値がある。
今日から始めたい!春の胃腸を守るセルフケア
生活習慣の面では、規則的な食事タイミングが基本になる。朝食を抜かず、毎日できるだけ同じ時間に食事をとることで消化管のリズムが整う。
「移動中に腹痛や便意が心配という方は、出発前ではなく目的地で朝食を食べるという工夫も有効です」と藤解先生はアドバイスする。
睡眠の確保・入浴・深呼吸・趣味や適度な運動など、自分なりのリラックス法を日常に組み込むことも、自律神経を整え胃腸トラブルを防ぐうえで大切だ。新しい環境では「頑張りすぎ」がちになるが、意識的に休む時間を作ることがそのまま胃腸の守りになる。
春の胃腸不調を「ストレスのせい」と片づけてしまうのは、場合によっては大切なサインを見落とすことにもなりかねない。まず専門医に相談し、内視鏡検査で「異常なし」を確認することが、安心して新生活に向き合う第一歩だ。
【取材協力】
広島DS内視鏡・日帰り手術クリニック
院長 藤解 邦生 先生(消化器外科・内視鏡専門医)
日本外科学会 専門医 / 日本消化器外科学会 専門医・指導医 / 消化器がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会 専門医 / 日本大腸肛門病学会 専門医・指導医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 / 日本抗加齢医学会 専門医
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