
「貯金はいくらあっても不安」若手社会人のリアル 本音は“投資で未来を変えたい”だった!?
松井証券株式会社が全国の社会人5年目までの若手ビジネスパーソン1,000人を対象に実施した調査により、約3割が「いくら貯金があっても安心できない」と回答し、将来の金銭的な不安を抱えていることがわかった。特に一人暮らし(賃貸)を始めたことが将来への備えを意識する大きな転機となっており、貯蓄だけでなく少額投資にも関心が高まっている現状が明らかになった。
居住形態で分かれる金銭感覚 投資に前向きな一人暮らしと慎重な実家暮らし
調査によれば、社会人5年目までの31.1%が「普段から将来必要なお金について考えている」と回答。一人暮らし(賃貸)を始めるタイミングで将来の資金について意識する人は35.9%にのぼり、実家暮らしの17.9%と比べて2倍以上という結果になった。一人で生活を切り盛りする中で、日常的な支出の管理だけでなく、将来の備えへの意識も高まる傾向がみられる。

貯蓄の目的に関しては、「いざというときに備えて」が全体の39.8%で最も多く、突発的な支出に対応するための蓄えが重視されている。居住形態別では、実家暮らしが「趣味のため」を2位に挙げる一方、一人暮らし(賃貸)は「老後のため」が次点となっており、より長期的な視点でお金を考える傾向になっている。

また、「いくら貯金があれば安心できるか」という問いに対しては、全体の34.2%が「いくらあっても安心できない」と回答した。中でも実家暮らしの38.9%がこの選択肢を選んでおり、一見経済的に余裕があるように見えるが、逆に漠然とした不安を強く感じている様子がうかがえる。一方で一人暮らしの回答者ではこの数字が29.3%とやや低く、より現実的な金額に基づいた判断をしているとみられる。
収入に対する貯蓄の割合を見てみると、20%以上を貯蓄に回している人は全体の54.4%。中でも30%以上を貯蓄に充てている割合では、実家暮らしが31.0%、一人暮らしは21.2%と、実家暮らしの方が高い結果となった。生活費の負担が軽い分、貯蓄に回しやすい環境にあることが要因と考えられる。
一方で、一人暮らしの多くは貯蓄額こそ控えめながら、少額からの投資に積極的な姿勢を見せている。既に投資を行っている、あるいは開始予定と答えた一人暮らしの割合は37.0%。これは実家暮らしの30.6%を上回る数値であり、FXや暗号資産といった短期売買が可能な商品にも関心が寄せられている。
2024年からスタートした新NISA制度も注目を集めており、全体の26.6%が「NISAを利用している」と回答。中でも一人暮らしの投資家は、ポイント投資や定期預金と並行して活用している人も多く、リスク分散を意識した資産形成が進んでいる。さらに、投資に関する情報源として「投資家のSNS・YouTube」(40.1%)や「投資関連Webサイト」(34.2%)、「家族・友人・知人のおすすめ」(31.5%)など、第三者のリアルな意見を重視する傾向も強い。

興味深いのは、投資開始に必要な貯金額についての考え方である。実家暮らしの40.5%が「いくらあっても投資はしない」と答えた一方、一人暮らしではこの数字が23.6%にとどまり、「50万円未満でも始めたい」とする意見が目立った。少額でも資産形成を始めたいという姿勢が顕著であり、生活費と向き合う中で投資を現実的な手段としてとらえる傾向がある。

調査結果から、若手社会人の間に将来への漠然とした不安が広がっている様子と、それに対応するための具体的な行動の違いが居住形態によって分かれていることが見て取れる。春の新生活シーズンを迎え、一人暮らしを始める人も多い今、自分のライフスタイルに合った資産形成の方法を模索することが求められているようだ。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。