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明石ダコの歴史的不漁で、機械メーカーの株主優待企画がボツになった話

明石市に本社があるプラントメーカー、日工株式会社が明石タコの歴史的不漁により、株主優待企画の内容を変更することを発表した。その経緯は、どのようなものだったのだろうか。担当者に話を伺った。


ーこれまでは、どのような株主優待企画を行っていたのですか
”タコつぼオーナー権”です。タコつぼオーナー権とは、名前のとおり、タコつぼのオーナーになれる権利のことです。オーナー番号が書かれたタコつぼを海に投入し、7~8月の間で4回引き上げます。タコツボにタコが入っていたら当日出荷の宅急便でお届け。1匹も獲れなかった場合も残念賞のタコが届けられるが、大きさも含めてすべて運。ギャンブル性の高い商品です。ちなみにタコは下処理されたあと、丸ごと送られるため、調理ができない方にはオススメできません。

ーそのようなユニークな企画ができた経緯を教えてください
2022年1月。ある日突然、CFOから株主優待におもしろいアイデアない?と相談を受けました。2021年度より株主優待制度を導入した当社。次年度の優待に向けて、株主様にさらに喜んでもらえるような品物を模索していたのです。上層部の意向としては、”できるだけ日工グループ製品”を、とのことでしたが、ゴツイ製品ばかり。そんななか、webニュースで明石市のふるさと納税返礼品の”タコつぼオーナー権”が大人気だと取り上げられていたことを思い出しました。

企業がオーナー権を買えるのか?ぶっ飛び企画すぎ?そんなことをグルグル考えながらも、開催元の兵庫漁連にコンタクトを取りました。すると、企業枠としてまとまった権利を購入することが可能で、発送まで対応可能だとお返事いただけました。よし、これはいける。当社側の負担も少ない。あとはこの企画が受け入れられるかどうか。おそるおそる、CFOに「ネタ枠で、タコつぼオーナーはどうでしょう?」と提案してみたところ、大盛り上がり。「タコが当たったら鮨屋に持ち込もう!」と自らもオーナーになる気が満々でした。こうして、抽選制ではあるものの、世にも珍しい”タコつぼオーナー権”を株主優待ラインナップに加えることになりました。

ーSNSでも、かなり話題になったそうですね
株主優待ラインナップを適時開示するや否や、Twitterの投資アカウントの間で”ユニークすぎる株主優待”として話題に上ることが増えました。もともと当社株は高配当株の分類に入り、またインフラ関係銘柄としてツウな投資家の間で密かに支持されていました。口コミで株主数が増加したほか、なかには「含み損だけどタコが当たるまで放置」などとつぶやく株主様も出てくる次第。いつのまにかSNS投資家アカウント界隈で「タコ壺銘柄」と呼ばれるに至り、ありがたいことに株主アンケートや株主総会でも本企画を絶賛する声がたくさんありました。私の企画歴の中で一番のヒットかも!?と思ったところでした。

ーその企画が、継続できなくなったのですね
2023年の株主優待のタコつぼ企画では、当選者数も増やしどんどん広報に活用しよう。 無念にも、その思いは「歴史的なタコ不漁」という避けられない事情によりあっけなく打ち砕かれました。獲れ高は最盛期の約1割に落ち込みました。もちろん、価格も高騰しているため、専らモーリタニアのタコにお世話になっています。

ー今後、復活の予定はあるのですか
漁連のご担当者様いわく、獲れ高によっては来年度以降のタコつぼオーナー権の復活はあり得るようなので、今後の復活を期待したいです。明石市ではタコ保護のために”タコマイレージ”の取り組みを行っています。釣り人にタコのリリースを促すものだ。当社株もリリースされないよう、業績の向上と安定配当に努めたいと思います。

今年度の株主優待品
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20230216513241/

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