
胃が痛いときにお茶を飲んではいけない。春の胃不調、やりがちな間違いと日々の胃ケア
春は胃にとって、なかなか厳しい季節だ。年度替わりのストレス、歓送迎会での暴飲暴食、朝晩の寒暖差。こうした要因が重なり、「胃がもたれる」「食後にキリキリする」「喉のあたりがムカムカする」といった不調が起きやすくなる。
不調を感じると、多くの人はまず市販の胃薬を飲む。それで治まれば問題ないのだが、「何度飲んでもすぐ再発する」「そもそもあまり効いた気がしない」という人が少なくないのも事実だ。一般内科医・消化器病専門医の工藤あき先生によれば、それには理由がある。
胃の不調には、3つのタイプがある
胃の不調は大きく「胃もたれ」「胃痛」「胸焼け」の3タイプに分けられ、それぞれ原因がまったく異なる。
「胃もたれ」は、食べ過ぎや脂っこい食事、早食いによって胃の動きが低下している状態。「胃痛」は、胃の知覚過敏が起きている可能性が高く、寒暖差や日常的なストレスが引き金になりやすい。「胸焼け」は、胃と食道の間にある括約筋が緩み、胃酸が食道に逆流することで起こる。
市販の胃薬の多くは「胃酸を抑える」「粘膜を保護する」という作用が中心だ。こうした薬は対処療法として有効な場面もあるが、根本的な原因が続いている限りすぐ再発しやすい。調査では10人に1人が慢性的な胃の不調を抱えており、仕事を休んだり早退したりするほど深刻な状態に陥ることもあるとわかっている。工藤先生は言う。「胃薬は対処のためのもの。大切なのは、日々の食事と生活で胃の環境を整えていくことです」。
「胃にいいつもり」が逆効果になるケース
タイプ別に、意外と知られていないNGな行動がある。
胃もたれのとき、消化によさそうだからとうどんやパンを選ぶ人は多い。しかし小麦に含まれる一部の成分は腸内で発酵しやすく、ガスや腸の張りを引き起こすことがある。ふわふわのパンも、バターなどの脂肪分が弱った胃腸には負担になる場合がある。
胃痛があるとき、「お茶でも飲んで落ち着こう」と思う人も要注意だ。お茶に含まれるカフェインは胃酸の分泌を増加させ、知覚過敏になっている胃をさらに刺激してしまう可能性がある。アルコールや香辛料も同様だ。
胸焼けのとき、炭酸を飲むとスッキリする気がするという人もいるが、これも逆効果。炭酸飲料を飲んだあとのゲップが、胃酸を食道へ逆流させてしまう。胸焼けを繰り返していると「胃食道逆流症」につながることもあり、長期化すれば食道がんのリスクも上昇するとされている。
胃のための「菌活」という視点
胃痛や胃もたれへの対策として、工藤先生がすすめるのがヨーグルトなどに含まれる乳酸菌の活用だ。乳酸菌には粘膜を保護する効果があり、中でも「LG21乳酸菌」はピロリ菌の活性を抑えたり、胃痛・胃もたれを和らげたりする作用があるとされている。毎日コツコツと取り入れることで、胃の環境を内側から整えていくことができる。
また、胸焼けには就寝時の姿勢も重要だ。胃は左側が膨らんだ形をしているため、左側を下にして寝ると胃酸が逆流しにくくなる。逆に右側を下にすると胃液が食道に流れ込みやすくなるため注意が必要だ。仰向けで枕を高くすることも、逆流予防に効果的とされている。
タイプ別・胃にやさしいレシピ【管理栄養士考案】
管理栄養士の渥美まゆ美先生に、タイプ別の胃にやさしいレシピを考案してもらった。共通するのは、ヨーグルトを上手に活用している点だ。
【胃もたれタイプ】ヨーグルトとジンジャーパイナップルのセパレートスムージー

食後の消化を助け、胃に食べ物をため込まないことを目的とした一品。
<胃に優しいポイント>
・パイナップルの酵素がたんぱく質の消化を助ける
・生姜が胃の動きを促進し、食べ物をスムーズに送り出す
・ヨーグルトが胃酸の刺激をやわらげ、消化しやすい形で栄養補給できる
<材料(2名分)>
ヨーグルト(プレーン)100g パイナップル200g 生姜1/2かけ(8g) はちみつ大さじ1 飾り用:パイナップル40g・生姜千切り1/4かけ・ミントの葉2枚
<作り方>
- パイナップルと生姜をぶつ切りにする。
- はちみつと合わせてミキサーで滑らかに撹拌する。
- 器にヨーグルトを入れて2を注ぎ、マーブル状に軽く混ぜ、飾りをトッピングして完成。
【胃痛タイプ】洋風ヨーグルト茶碗蒸し

胃に負担をかけずに栄養をとることを目的とした一品。
<胃に優しいポイント>
・卵は消化吸収が良く、体調が優れないときでも取り入れやすいたんぱく源
・オクラのペクチンが胃の粘膜を保護し、刺激から守る
・ヨーグルトが胃酸をやわらげながら栄養補給を助ける
<材料(2名分)>
鶏もも肉60g マッシュルーム2個 オクラ(小口切り)40g 卵2個 ヨーグルト(プレーン)100g 熱湯50ml コンソメ顆粒小さじ1/2 塩ふたつまみ
<作り方>
- 鶏もも肉を一口大に、マッシュルームを薄切りにし、耐熱容器に鶏肉・マッシュルーム・オクラを分けて入れる。
- 熱湯にコンソメと塩を溶かし、溶き卵とヨーグルトを加えてよく混ぜる。
- 1に2を流し入れ、ふんわりラップをかけて600Wで4分加熱。1分保温して中まで火を通したら完成。
【胸焼けタイプ】キャベツとりんごのヨーグルトコールスロー

胃の状態を整え、胸焼け予防を目的とした一品。
<胃に優しいポイント>
・キャベツの成分がダメージを受けた胃の粘膜の修復をサポート
・りんごのペクチンが粘膜を保護しながら消化の流れを整える
・マヨネーズの代わりにヨーグルトを使うことで胃への脂肪負担を軽減
<材料(2名分)>
キャベツ150g 塩小さじ1/2 りんご1/2個 ヨーグルト(プレーン)60g オリーブ油大さじ1 塩ふたつまみ こしょう少々
<作り方>
- キャベツを細切りにして塩を振り、5分置いてしんなりしたら水気を絞る。りんごは薄切りのいちょう切りにし、酢水(分量外)にさっと漬けておく。
- ヨーグルト・オリーブ油・塩・こしょうをボウルで混ぜ合わせ、1を加えてあえたら完成。
自分の不調がどのタイプかを知り、やりがちなNG行動を避けながら、食事と生活で胃を整えていく。薬はあくまでも対処のためのもの。「また胃が痛い」という状態から抜け出すには、日々のケアの積み重ねが何より大切だ。
【取材協力】
工藤あき先生(一般内科医・消化器病専門医)

腸内細菌・腸内フローラに精通し、腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療が人気。コメンテーターとしてメディア出演多数。「むき卵肌ドクター」の愛称で知られる。
渥美まゆ美先生(管理栄養士・フードコーディネーター・料理研究家)

株式会社Smile meal代表取締役。健康運動指導士としても活躍し、企業向け健康セミナーの講師も担当。
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