
Z世代離職防止の新常識!ウェルビーイングを高める「引き出す」コーチング
「最近の新入社員(Z世代)は何を考えているのか分からない」「会議で誰も発言してくれない」—— こうした悩みを抱えるのは、上司や管理職だけではない。企業全体の活力、そして社員一人ひとりの働きがい(ウェルビーイング)にも関わる大きな課題である。
今回は、職場での安心感(心理的安全性)を高め、社員の離職を防ぐために、個人が今日からできるコーチングの考え方について、株式会社宙に話を伺った。
職場の「心理的安全性」はなぜ重要?
チームにおける心理的安全性とは、「このチームでなら、自分の意見や懸念を率直に言っても、バカにされたり罰せられたりしない」という共通認識です。これは、単に「仲良しクラブ」を意味するのではなく、ハラスメント(威圧的な態度や発言)を恐れずに、誰もがアイデアやミスを報告できる「成長の土台」です。特に、新しい価値観を持つZ世代は、この安心感が低いと「この職場は合わない」と判断しやすく、早期離職に繋がります。彼らの定着と力を引き出すためには、上司任せにせず、メンバー一人ひとりが日々のコミュニケーションで心理的安全性を意識することが重要です。
「コーチとは」 教えるのではなく、引き出す技術
私たちは、困っている人がいるとつい「こうすべきだ」「こうやれ」と指示してしまいがちです。しかし、これがZ世代にとっては「自分の意見は不要だ」というメッセージになり、ウェルビーイングを低下させます。ここで役立つのが、コーチングの考え方です。コーチとは、「相手の中に答えがあると信じ、質問を通じてその答えを引き出す人」です。
従来の「教える」コミュニケーション
指示 「あの資料を修正しておけ」
批判 「これはミスだ。やり直せ」
断定 「君にはこの仕事が向いている」
コーチング的な「引き出す」コミュニケーション
質問 「この資料をどうすれば、もっと伝わりやすくなると思う?」
内省 「この件から、次に活かせる学びは何だろう?」
探求 「仕事の中で、特に夢中になれるのはどんな瞬間?」
ウェルビーイング向上のための3つの実践
コーチングの考え方を日々のコミュニケーションに取り入れることは、チーム全体のウェルビーイング向上に直結します。
①「共感」で安心感を作る: 相手が不安や悩みを口にしたとき、すぐに解決策を出さず、まずは「そう感じていたんだね」と、感情を受け止めましょう。これがハラスメントの予防にも繋がり、心理的安全性の第一歩になります。
②「質問」で主導権を渡す: 部下が意見を求めてきた時、「私ならこうする」と言う前に、「まず、あなた自身の考えを聞かせてくれる?」と返します。これにより、相手は自分で考える習慣がつき、仕事に対する主体性(=ウェルビーイング)が高まります。
③「フィードバック」は未来志向で: ミスについて話すときも、責めるのではなく「次はどうすればうまくいくか?」という未来の行動に焦点を当てた質問をします。この姿勢が、失敗を恐れずに挑戦できる文化を育みます。
メンバー一人ひとりがコーチングの視点を持つことが、Z世代を含む全社員のウェルビーイングを高め、結果として組織全体の活力を最大化する、新しいマネジメントの形となるのです。
【取材協力】
株式会社宙 代表取締役 栗栖佳子
http://kurisu-sora.com/
アンガーマネジメントやコーチングを取り入れた実践型コミュニケーション研修を提供し、組織の意識改革を支援している。企業研修に加え、エグゼクティブや女性リーダー向けの個人セッションも実施。
LEGO SERIOUS PLAYメソッドの認定ファシリテーターとして、レゴブロックを活用した創造力と対話を促す革新的な戦略策定・チームビルディング手法を研修メニューに取り入れている。
取材/文 石田あかね
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