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「豚もおだてりゃ木に登る」はアニメ「ヤッターマン」が作ったことわざ…ではないし、ことわざでもない?

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子どものハートをつかんだブタ

この『ヤッターマン』で有名になった言葉が「豚もおだてりゃ木に登る」。
戦闘ロボットのコックピット内で、ドロンボーのリーダー・ドロンジョが部下のボヤッキーを「やるね〜」「さすがだね〜」などと褒めると、マシンのふたがパカッと開いてヤシの木を登る豚が登場、「豚もおだてりゃ木に登る(Boo〜!)」と叫びます。このシーンがウケました。

放送当時は、『ヤッターマン』で創作されたギャグだと思われていました。その後、「無能でも、褒めることで能力以上の力を発揮する」という意味のことわざだと認知されるようになったため、アニメのギャグがことわざに転じたという珍しい例…と思っている人が今でも多いようです。

 しかし、それは間違いです。この言葉を番組で使う発端はタイムボカンシリーズを手がけた笹川ひろし総監督のアイデアで、自身が幼少期を過ごした福島県でよく聞いた言葉だったそうです。

 そこでもう少し調べてみました。言葉のルーツは会津地方にあり、昭和20〜30年代には存在したとされています。これで『ヤッターマン』で創作された言葉ではなかったことがわかりました。

 さらに、どのように使われていたのか調べてみたのですが、詳しいところまではたどり着きませんでした。一説には、民謡などで「えんやさ〜どっこいさ〜」という拍子を指す「囃子詞(はやしことば)」ではないか、という説も聞きましたが文章的なのでちょっと疑わしいです。

(レコード「おだてブタ」)

ということで、あくまで推測ですが、「豚もおだてりゃ木に登る」は、詩(うた)の一節、はやり言葉のようなもの、だったのではないでしょうか。ひとついえることは、ことわざとは違う可能性が高いこと。広辞苑には、ことわざではなく“単語”とくくられています。

 最後にまとめると・・・『「豚もおだてりゃ木に登る」とは、アニメ『ヤッターマン』で全国に知れ渡った福島県会津地方から伝わる単語』と説明するのが正しいようです。でも、言葉は進化し認識も変化していきますから、そのうちことわざとして認められる日が来るかもしれません。

(石原久稔)

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