風邪に抗菌薬は効かない?むしろ有害!? 現役医師が解説

風邪をひいて困った時、病院を受診する。

その際に、抗菌薬が欲しいと頼んだことはないだろうか。

しかし実際は風邪に抗菌薬は効かないのだ。

風邪の原因はウイルス

風邪の原因は、ほとんどの場合がウイルスだ。

原因となるウイルスは200種類以上あり、やっつける方法はこれといったものがない。

例えばインフルエンザウイルスやコロナウイルスであれば、専用の薬がある。

しかしどちらの薬もウイルスをやっつけるというより、増えないようにしているだけなのだ。

ほとんどの風邪のウイルスには、このような専用の薬はない。

抗菌薬は細菌をやっつけるもの

抗菌薬とは、細菌やバイ菌を倒すものである。

風邪の場合、細菌が原因となることはほとんどない。

つまり、風邪の時に抗菌薬を飲んでも無意味なのだ。

抗菌薬を飲むべき場合

風邪の時は、免疫力が下がってしまう。

そうなると、普段なら体の免疫でやっつけられるはずの細菌が元気になる。

すると、細菌が風邪とは別の肺炎などをひきおこしてしまう。

このような場合は抗菌薬を飲むべきだ。

特に免疫力が弱い方は注意が必要だ。

抗菌薬の副作用にも注意

抗菌薬も含め、どんな薬にも副作用がある。

飲む抗菌薬の種類にもよるが、多くのものは下痢になりやすい。

風邪の時は熱がでたりして脱水になりやすいのに、下痢をするとますます脱水が進んでしまう。

下痢の他にも吐き気だったり頭痛だったり、最悪の場合にはアレルギー反応がでてしまって命に関わる場合もあるのだ。

薬は飲まないすむなら飲まない方が良い。

抗菌薬を飲むと耐性菌が生まれる可能性あり

抗菌薬を乱用すると、細菌が自分の性質を変えて、その抗菌薬に耐えられるようになる。

つまり、次にその抗菌薬を使おうとしても効かなくなるということだ。

耐性菌が増えると使うべきタイミングで使える抗菌薬がなくなり、命を落としてしまう。

1週間抗菌薬を飲むと、約30%の確率で耐性菌ができるという報告もあり注意が必要だ。

薬は正しい飲み方をしよう

風邪では、抗菌薬は効果がないどころか有害なこともある。

風邪の基本的な治療方法は、体調を整えて自分の体の免疫力で治すことだ。

不要な抗菌薬を飲んで自分の体を苦しめないようにしよう。

執筆者:あやたい

医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。

日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。

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