
花粉対策!美容効果等々、多様な付加価値で競争激化するウォーター市場
ウォーター市場において、単なる水分補給を超えた付加価値提供の競争が激化しているようだ。健康志向の高まり等の影響から、年代を問わず水の日常的な飲用が定着し、各社は差別化に向けた新たな戦略を展開している。
株式会社ドットミーは5月14日より、食物繊維が摂取できる「食物繊維がとれる水」の販売を開始した。同商品はレタス約1.5個分の食物繊維(グアー豆由来)を含み、高発酵性で善玉菌の栄養になりやすく、おなかにもやさしいという特長を持つ。

すっきりとしたレモンの味わいでありながらカロリーゼロの商品設計となっており、同社は「毎日の水分補給をインナーケア習慣へと進化させる新発想のウォーター」と位置づけている。
一方、株式会社日田天領水は九州大学農学研究院との共同研究により、同社の天然ミネラルウォーター「日田天領水」がスギ花粉アレルギー症状を緩和・抑制する効果があることを科学的に確認したと5月1日に発表した。この研究結果は国際的な学術誌「Heliyon」のオンライン版に掲載され、学術的にも評価されている。
研究では花粉症モデルマウスの作製にあたり、スギ花粉アレルギーを引き起こす物質(Crj1)と補助剤を投与。その後、日田天領水、市販の天然水、水道水をそれぞれ異なる方法(飲用、腹腔内投与)で与え、鼻をこする回数、くしゃみの回数、血清総IgE値を測定した。その結果、日田天領水を摂取したマウスは他の水を与えたマウスと比較して、花粉症の主な症状が有意に軽減されたという。

さらに免疫細胞への作用機序に関する調査では、IgE産生量の減少、マスト細胞を用いた試験、ヒトリンパ球を用いたサイトカイン産生試験から、特定のサイトカイン産生に影響を与えることでアレルギー反応を抑制することが示唆された。加えて、日田天領水は細胞に対する高い抗酸化作用も確認され、これらの効果がアレルギー抑制に寄与していると考えられている。
日本人の約3人に1人がスギ花粉症とされ、年々患者数は増加傾向にある中、同社はこの研究が「スギ花粉症をはじめとするアレルギー疾患に対する新しい予防法や治療法としての可能性を示すもの」として、今後の臨床試験やヒトを対象とした研究への展開を期待している。
さらに、サントリー食品インターナショナル株式会社は、4月1日から初の冷凍可能なミネラルウォーター「サントリー天然水 冷凍PET」を全国で発売した。


同社によると、天然水の冷凍に関する問い合わせは2019年比で約2倍に増加しているという。冷凍タイプは飲用の冷たさだけでなく、体を外から冷やす冷却材としての使用や、外出時の保冷材代わり、さらには防災時の備えなど多様な活用法を想定して開発された。
国内ミネラルウォーター類の市場は、単なる水分補給という基本価値から、美容やアレルギー対策、熱中症対策や防災など多岐にわたる付加価値を競う時代へと急速に変化している。各社は消費者の多様なニーズと健康意識の高まりを背景に、独自の技術や研究成果を活かした差別化戦略を積極的に展開している。市場関係者によれば、今後もこの差別化競争は一層加速すると予測されている。
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