
アート作品を耳でも体験するXRサービス「Auris」など、「Be Smart Tokyo」中間報告会開催
ReGACY Innovation Group株式会社は、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができる「スマート東京」の実現を目指すプログラム「Be Smart Tokyo(東京都スマートサービス実装促進プロジェクト)」の中間報告会を、11月12日(水)に開催した。
東京都では、「スマート東京」の実現に向け、令和4年度から「東京都スマートサービス実装促進プロジェクト」を実施している。本事業では、都内全域をフィールドに、スタートアップと東京都が連携して、スマートサービスをスピーディーに実装していくことを目的としている。
同社は東京都から採択された実装促進事業者として、「女性活躍支援」「障がい者支援」「教育格差の是正」の3分野において、スタートアップによるスマートサービスの社会実装プロジェクトを運営しており、今年8月に、新たにスタートアップ3社を2025年度の採択事業者として決定した。

報告会では、本プロジェクトの概要説明と新たに採択されたスタートアップ3社、および過年度から継続的に取り組む5社を含む採択事業者計8社の紹介のほか、GATARI×三菱地所の注目プロジェクト「視覚障がい者を含む、誰もがアートを体験できる音声ガイドコンテンツ」についてトークセッションが行われた。

GATARI×三菱地所のトークセッションには、株式会社GATARI 代表取締役CEO・竹下俊一氏、三菱地所株式会社 エリアマネジメント事業部・丸岡彩氏が登壇。GATARIが開発・提供・運営するXRサービス「Auris」、センチメートル単位の高精度トラッキング技術と自然な音声フィードバックにより、視覚障がい者に安全で快適な移動と、施設や空間における魅力の体験を提供している。

今回の報告会では、三菱地所との連携事業として丸の内仲通り(丸の内ストリートギャラリー)で開催されている「耳とからだで聴く彫刻たち 『Auris』で拡がるあたらしいアート体験」の経過報告が行われた。本イベントでは、エリア内にある彫刻作品を視覚障がい者を含む誰もが楽しめるようなガイド体験を提供している。
竹下氏は、7月8日のイベント開始から約2か月間で多くの方に体験してもらったと話し、1人あたりの体験数が8.3回と高く、回遊性の高いエンゲージメントをアピールした。プロローグから始まり、複数の彫刻作品を巡る流れが自然と生まれていて、音声ガイドによる誘導効果が確認されており、視覚障がい当事者を含む多様な来場者に対してインクルーシブな体験が提供できていることを報告した。また、視覚障がい当事者を含む多様な来場者に対して、インクルーシブな体験を提供できていると報告した。

一方、三菱地所の丸岡氏は、GATARIとの連携について、以前に三菱一号館美術館で協業した実績があり安心感があったから、と説明。今回は、GATARIの高精度な空間認識技術「Auris」を公共空間で活用する初の試みとして、同社が運営する歴史ある「丸の内ストリートギャラリー」を選定した。障がいの有無を問わず多くの人がアートを楽しめる場を目指していて、「Be Smart Tokyo」の理念とも親和性が高いと述べた。

トークセッションは、ほかにもCuel×メリービズのプロジェクトについて「女性キャリアの構築」というテーマで行われた。
株式会社Cuelは、女性専用のオンライン、経理・財務スクール「CuelCollege」を運営し、経済的困窮を抱える女性や望む働き方ができていない女性の就労支援を目指している。メリービズは、Cuelと連携し、「CuelCollege」卒業生のスキルやライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を提供。これにより、女性のリスキリングや経済的自立を支援し、より多くの女性が活躍できる社会の実現を目指している。

メリービズ株式会社 社長室室長・石川淳一氏は、Cuelとの連携の意義について「意義は大きく分けて二つあります。一つ目は、本質的なリスキリングを提供できること。昨今の経理の現場では、クラウド上のシステムを使うことがスタンダードで、そういった会計ソフトを扱うスキルを身につけるハードルを払拭できると感じています。二つ目は、女性のキャリアの分断に対して柔軟な働き方を提供できる点。それを推進できるところがポイントだと思います」と説明した。

株式会社Cuel 代表取締役・鈴木ひとみ氏は、メリービズとの連携の効果について、一言で「見える化」だと表した。特にブランクのある女性にとって次の一歩を踏み出すことは難しいが、今回の連携により、実際にメリービズで働く人の姿や業務の進め方を知る機会が生まれたという。これによって受講生の仕事や職場への理解度が高まり、「自分にもできそう」「この人と同じ思いを持っている」と感じる人が増えた。結果として、新しい一歩を踏み出す後押しにつながった点を最も大きな成果として挙げた。

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