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動物実験の低減を実現する模擬骨「TANACBONE(タナックボーン)」とは?

株式会社タナックは、日本人・アジア人の骨格形状と骨の質感をリアルに再現した模擬骨・TANACBONE(タナックボーン)を11月10日から販売を開始し、同日に製品発表会も開催しました。

※整形外科学助教・西田周泰氏

医療分野でのシミュレータを用いた教育ニーズ

はじめに、山口大学大学院医学系研究科整形外科学教授・坂井孝司氏と同学整形外科学助教の西田周泰氏が「模擬骨を含む3Dシミュレータの有用性と可能性」について紹介しました。

冒頭、日本の医療外科領域における問題点を列挙。
具体的には手術機会の少なさや諸外国に比べ遅れをとっていること。さらには海外トレーニング参加への経済的・時間的負担についても言及。こうした背景もあり、以前は遺体での手術練習について是非が問われていたものの、最近は日本でもトレーニングが増えてきたそうです。

 近年、3Dプリンタなども登場し、医療分野でのシミュレータを用いた教育ニーズが高まりましたが、さらにシミュレータに求められるのは、「より生体に近い医療用シミュレータ」であると説明。従来の模擬骨が形状・硬さともにヒトの骨と大きな相違があり、医療従事者が納得のいく使用感を得ることが難しい状況であることにも言及。

欧米製品が世界シェアの80%以上の現状を改善

タナック社はこの課題を解決すべく、より生体に近い質感を再現した皮膚、骨、臓器、 血管などの医療用シミュレータを開発・製品化を行いました。それが今回販売がされた模擬骨・TANACBONE(タナックボーン)。本製品は国立研究開発法人産業技術総合研究所との力学試験や山口大学・岐阜大学との共同研究を経て独自開発されました。

※公式HPより引用

現在、模擬骨は欧米製品が世界シェアの80%以上を占めているのをご存知でしょうか。骨格が欧米人仕様のため、日本人(アジア人)と比べて「サイズが大きい」、「質感が硬い」などと課題も多かったそうです。

TANACBONEは日本人(アジア人)の骨格データに基づいてつくられており、まずはニーズが高い脊椎や大腿骨を中心に製品ラインナップを揃えたとのこと。

テストで使用していた医師からは、医療機器申請時の試験に使用することで、患者様で行う臨床試験前にリスク検証ができると反響があったとのこと。

※整形外科学教授・坂井孝司氏

模擬骨を含む3Dシミュレータは、新人医療従事者の慣れない実技によるリスクの軽減や、多くの医療従事者が均一な診療技術を効果的に習得できること等から有用性が高いものです。さらに医療教育への貢献のみでなく、インプラントの評価、医療トレーニングやシミュレーション、手術器具の開発などへの大幅な活用が期待されています。今後もさらなる可能性を秘めていることがわかります。

販売については、タナック社のECサイト内専用ページ「TANACTRAINING(タナックトレーニング)」から購入が可能。医療機器メーカーや医療施設等への納入を順次開始するほか、TANACBONEと併行し学会や医療セミナーで多くの実績がある縫合用皮膚モデルや血管、臓器の自社製品販売を行う予定とのこと。今後は犬(特に小型犬)の模擬骨の開発や日本国内のみならず成長が見込まれるアジア圏への販売拡大も狙っているとのことです。

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