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「住みたい街」から「誇れる街」へ、初の全国調査で見えた自治体評価の“真の尺度”――中央区と高槻市が上位に入った納得の理由 ~シビックプライドランキング発表~

住民がその街に対して抱く「愛着」や「誇り」を数値化する「シビックプライド」という概念が、自治体経営の新たな指標として存在感を増しているようだ。かつて都市の評価といえば、人口流入数や地価、商業施設の充実度といった外的なスペックが主眼であった。しかし、人口減少社会への移行に伴い、住民がいかにその街を「自分の街」として捉え、持続的に関わりたいと考えるかという内面的な評価が、都市の持続可能性を占う鍵となっている。

読売広告社都市生活研究所は、このほど「シビックプライド最新ランキング」を発表した。これまで特定の地域を中心に行われてきた本調査だが、今回は初の全国調査へと規模を拡大。47都道府県の主要自治体を網羅したデータからは、現代の住民が街に対して何を求め、どのような要素が「誇り」へと繋がっているのか、その実態が明確に示される結果となった。

利便性やステータスを凌駕する「生活者目線」の重要性

今回の調査において、全国の自治体の中でシビックプライド総合1位の座に就いたのは、東京都中央区であった。

中央区といえば、銀座や日本橋、築地といった歴史ある商業地や、日本経済の象徴である兜町などを抱える、文字通りの「都心の中心」である。しかし、本調査の結果を分析すると、住民が抱く誇りの源泉は、単なる知名度やブランド力だけではないことが分かる。

首位獲得の大きな要因として指摘されているのが、華やかな都市機能の裏側にある「生活者目線の丁寧なまちづくり」だ。同区では近年、臨海部の晴海や勝どきエリアを中心に大規模な再開発が行われ、子育て世代を含む新しい住民が急増している。これに対し、区は待機児童対策や教育環境の整備といったハード・ソフト両面での生活支援を強化してきた。

同時に、佃や人形町といったエリアに根付く伝統的なコミュニティや文化を尊重し、新旧の住民が共存できる環境を維持している点も、高い評価に繋がっている。都市としての圧倒的な利便性を持ちながらも、一歩路地に入れば人情や歴史を感じさせる「暮らしの体温」がある。この多面的な魅力が、住民の「この街に住み続けたい」という強い肯定感を生んでいるようだ。

中央区と並び、今回の調査で大きな注目を集めたのが、総合3位にランクインした大阪府高槻市だ。

大阪市と京都市の中間に位置する高槻市は、古くから典型的なベッドタウンとして発展してきた。注目すべきは、並み居る政令指定都市の主要区を抑え、中核市である同市がトップ3に食い込んだということだ。この「大躍進」の背景には、住民の意識を「単に寝に帰る場所」から「誇りを持って過ごす場所」へと変容させた、戦略的な取り組みが浮上している。

高槻市は近年、JRと阪急の2路線が利用可能という高い交通利便性を土台にしつつ、安満遺跡公園(あまいせきこうえん)に象徴される大規模な緑地空間の整備や、「将棋のまち」としてのブランディングなど、街の個性を明確にする施策を次々と打ち出してきた。

調査結果によれば、同市は住民が外部の人に対して街を薦める「推奨意向」の項目で高いスコアを記録している。これは、自治体が提供する施策や街のビジョンが住民に浸透し、彼らが街の変化を自分事として捉えている証左といえるだろう。ベッドタウンであっても、独自のアイデンティティを確立し、住民のQOL(生活の質)向上に真摯に向き合うことで、大都市に匹敵する、あるいはそれを凌駕するシビックプライドを醸成できることを、高槻市の事例は証明している。

今回の調査結果は、これからの都市間競争における評価基準の変化を物語っているように思える。住民はもはや、駅前の便利さや資産価値だけで街を選んでいるわけではない。自分のライフスタイルが尊重され、街の成長や維持に誇りを感じられるかという「情緒的な価値」が、選ばれる街の条件となっている。

シビックプライドランキング 全国版 総合ランキング1位~30位

自治体にとっては、外向けのプロモーション以上に、内部の住民といかに街の価値を共創していくかが問われている。「中央区」や「高槻市」が示したモデルは、成熟社会におけるまちづくりの一つの正解と言えるかもしれない。シビックプライドという物差しは、今後の地方創生や都市経営のあり方を大きく規定していくことになるだろう。

シビックプライド調査 2025 全ランキング
https://civic-pride.com/research-report-list/13600/

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