
住宅の省エネ化が加速、4月1日施行「改正省エネ法」 窓リフォームへの関心高まる
政府は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げている。その一環として、2025年4月1日から改正建築物省エネ法が施行され、新築・増築時の省エネ基準適合が義務化される。加えて、窓の高断熱化リフォームに活用できる補助金申請が3月から開始予定であり、住宅の省エネ化が本格化する。
そんな中、YKK AP株式会社は、20代〜60代の男女1,101名を対象に「住まいに関するアンケート」を実施。その結果、窓リフォームの認知度は約45%に達するものの、実施率はわずか9%にとどまることが分かった。一方で、未経験者の約49%が新生活や引っ越し時に「断熱・省エネ性能」を重視すると回答しており、関心の高まりがうかがえる。

窓リフォーム未経験者の住まいの不満
アンケート結果によると、窓リフォーム未経験者が抱える住まいの不満の1位は「冬の寒さ(43.7%)」、2位は「光熱費の高さ(36.8%)」、3位は「夏の暑さ(31.4%)」だった。さらに「部屋ごとの温度差(28.7%)」や「結露(27.9%)」といった問題も多く挙げられている。

世界保健機関(WHO)は健康を守るために室温を18℃以上に保つことを推奨している。しかし、日本の住宅では冬の平均室温がこれを下回ることが多く、寒暖差によるヒートショックのリスクも指摘されている。専門家は、窓の断熱性能を向上させることで、快適性だけでなく健康面でも大きなメリットがあると指摘している。
補助金活用でリフォームが身近に
アンケートでは、窓リフォームに対する懸念として「費用が高そう(53.3%)」「工事に時間がかかりそう(17.8%)」「効果が分からない(17.1%)」といった理由が挙げられた。しかし、窓リフォームの一つである「内窓設置」は1窓あたり約60分、「窓交換」でも半日程度で完了する手軽な工事である。また、環境省の「先進的窓リノベ2025事業」を活用すれば、リフォーム費用の約半分が補助され、最大200万円の支援が受けられる。


実際に窓リフォームを経験した人の80%以上がその効果に満足していると回答しており、「光熱費の削減」「冬の寒さや夏の暑さ対策」「結露防止」「防音効果」など、多くのメリットを実感している。
東京大学大学院の前真之准教授は「窓リフォームは室内環境を大きく改善し、生活の質を向上させる」と強調する。窓は住宅の熱の出入りが最も多い部分であり、夏場は74%の熱が窓から入り、冬場は50%の熱が窓から逃げている。これを改善することで、冷暖房効率が向上し、光熱費の節約にもつながる。
専門家の間でも「窓リフォームはコストパフォーマンスが非常に高い」と評価されており、補助金が充実している今こそ、住環境の見直しを検討するタイミングといえる。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。