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入学できないことも?「フリースクール入学拒否問題」の現実とその対処法 コラム

近年、不登校や学校に馴染めない生徒たちの受け皿として注目を集めているフリースクールですが、実際には入学を拒否されるケースも存在します。なぜフリースクールは生徒の受け入れを拒否するのか、その理由と対策について、フリースクールや通信制高校技能連携校を運営している浦和高等学園へ取材させていただき、フリースクールの入学拒否について紹介していきたいと思います。

フリースクールが生徒の入学を拒否する主な理由

フリースクールは柔軟な教育体系を持ち、個々の生徒のニーズに対応しやすいことが特徴です。しかし、学校側の事情により受け入れに制約を設けている場合があります。主な理由として以下が挙げられます。

まず、最も一般的な理由は、「教員とカウンセラーの連携不足」にあります。生徒一人ひとりの心のケアには、教員とカウンセラーの緊密な協力が不可欠です。ところが、時間的制約や専門知識の違いをはじめとした、教師とカウンセラーが「意思疎通を取れていないこと」から、生徒の複雑な問題に対して適切に対応できず、やむを得ず受け入れを拒否することが最も多い理由になります。そのため、カウンセラーが生徒と個別に関わるだけでなく、教員と連携し、カウンセリングや検査結果を教科学習や生活指導に活かすことが非常に重要です。

また、フリースクールは、学習障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの特殊な教育ニーズへの対応も必要になることが多いため、臨床心理士、公認心理士の資格を取得しているカウンセラーが在籍していることが、サポートの質を大きく左右します。

多くの生徒に対応するためにも、単に『カウンセラーがいます』ではなく、カウンセラーが学校内でどのような役割を果たし、またどのように教員と連携をとっているかも重要なポイントとなります。

次に受け入れ拒否が多い理由は、定員オーバーです。フリースクールは一人ひとりの生徒に個別化された教育や支援を提供することを目指しているため、教員一人あたりの担当生徒数や学校全体の受け入れ可能人数に限りがあります。これは教育の質を維持し、教員の過重労働を防ぐためです。

最後に、重度の行動問題がある場合です。生徒が自身や他者、環境に対して繰り返し危害を及ぼすような重度の行動問題がある場合、フリースクールは受け入れを躊躇する可能性があります。これは他の生徒の学習環境を守るためでもあります。

フリースクールの受け入れ拒否に対する対策

フリースクールへの入学を希望する場合、以下の対策を講じることで受け入れ拒否のリスクを軽減できる可能性があります。

まず、早期の連絡と情報収集が重要です。フリースクールの方針、教育内容、定員、学費、必要書類、入学試験や面接の有無などについて、早めに情報を収集することが大切です。公式ウェブサイトやパンフレットの確認、見学会や説明会への参加、個別相談の利用などが有効です。また、可能であれば他の親御様や卒業生からのフィードバックを聞くことも大切です。

次に、適切なフリースクールの選択が重要です。お子様や親御様のニーズに合ったフリースクールを選ぶことが大切です。教育方針、教員の資格や経験、学校の場所や設備などを考慮に入れて選択しましょう。フリースクールによっては、具体的な教育方法やカリキュラムが大きく異なるため、十分な調査が必要です。

最後に、受け入れ前のカウンセリングの活用が挙げられます。多くのフリースクールでは、受け入れ前にカウンセリングを実施しています。これはお子様の学習状況や興味、強みや課題を共有し、フリースクールがお子様に適しているかを双方が判断する重要な機会です。カウンセリングを通じて、フリースクール側とお子様、親御様の間に信頼関係を築くことができます。

受け入れ拒否がお子様に与える影響

フリースクールによる受け入れ拒否は、お子様たちに大きな影響を与える可能性があります。

まず、行き場を失うお子様の存在が挙げられます。学校にも行けず、フリースクールにも受け入れてもらえないお子様は、適切な教育や支援を受ける機会を失ってしまいます。これは、お子様の学習権や発達の機会を奪うことにもつながりかねません。

また、受け入れを拒否された経験は、お子様の自尊心や自己肯定感を傷つける可能性があります。「どこにも居場所がない」という感覚は、不登校のお子様にとって特に深刻な問題となり得ます。

さらに、親御様の負担も増大します。お子様の居場所を見つけられない親御様は、精神的・経済的なストレスにさらされることになります。これは、家庭全体にとって、精神的に影響を及ぼす可能性があります。

フリースクールの受け入れ拒否に直面した場合の対応

複数のフリースクールに受け入れを拒否された場合でも、諦めずに対応策を探ることが大切です。各都道府県の教育相談センターに相談することも一つの選択肢です。専門家に現状の思いや要望を伝え、お子様の成長を最大限引き出せる環境を見つける手助けを得ることができます。

フリースクールへの入学を希望する家庭にとって、受け入れ拒否の可能性は不安要素の一つかもしれません。しかし、これらの課題はより具体的な準備と計画をするための機会でもあります。早期の情報収集、適切なフリースクールの選択、受け入れ前のカウンセリングなど、積極的な行動を取ることで、お子様に最適な教育環境を見つける可能性が高まります。

教育の選択肢が多様化する中、フリースクールは不登校や学校に馴染めない生徒たちにとって重要な選択肢の一つとなっています。しかし、その受け入れには様々な要因が関わっていることを理解し、十分な準備をすることが大切です。お子様の将来のために、粘り強く最適な教育環境を探し続けることが、結果的には大きな成長につながるのではないでしょうか。

取材/リサーチ協力

浦和高等学園
不登校の小中学部を対象としたフリースクールや、高校部(通信制高校技能連携校)を運営。
※小中学部は小学生5年生から入学可能
フリースクールを、ただの「居場所」「遊び場所」といった、やりたい事、好きな事だけに時間を費やす場所ではなく、教員免許を持った教科指導経験のある教員が各教科学習に配置されているため、「学びの場」を用意しているフリースクール。
浦和高等学園HP:https://urazono.net/

written by : 祐紀(BIZNEWS365)

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