人命とお金どっちを優先!? 医療現場での「切実な選択」を現役医師がレポート
病院などの医療機関は、患者の命を助けるところだ。
しかしその一方で、医療機関はひとつの企業でもある。
つまり、経営がうまくいかなければ潰れてしまうのだ。
今回は、人命救助と経営を両方考えなえればならない、医療現場の思いについてレポートする。
人命を救いたい医療従事者
医療従事者の目標として、人を救うことがあげられる。
救うには、さまざまな治療のパターンがある。
がんになった人を、手術したり薬物療法をおこなったりする。
心筋梗塞になった人を、カテーテル治療する。
珍しい疾患にかかった人を、特別な薬や機械を用いて治療する。
もちろん、治療する際に患者の世話をする看護師、リハビリ、栄養士などの職種も患者を救いたいという思いをもって仕事をする。
治療にはお金がかかる
当然だが、患者を治療するにはお金がかかる。
薬代、手術などをする機械代、材料代などだ。
これに医療従事者の人件費もかかる。
中には、医療従事者は患者のために働くのでお金は最低限でよい、という意見を聞いたりする。
しかし医療従事者も同じ人間であり、仕事に対しては正当な報酬が必要だ。
コスト削減せざるを得ない理由
実は入院すると、病気の名前によって病院が手に入れる金額が決まっている。
一昔前は、治療した分だけお金が得られていたが、現在はほとんどの病院で定額になっている。
こうなると、入院中に赤字にならないために、病院としてはコスト削減をすることになる。
手術に使う器具を安物にしたり、できるだけ高価な薬剤を使わないように指導する。
高価なものの方が治療しやすかったり、効果がある場合も病院として認めてもらえないことも多い。
つまり、最終的に治療に悪影響を及ぼしてしまう可能性もあるのだ。
しかし、病院としても赤字になると潰れてしまうので、安易に高価なものを提供しにくい事情もある。
人とお金どちらを優先!?
「人命は平等」という考えは重要だ。
その一方で、人命を最優先にして経営を度外視すると、治療する病院自体がなくなってしまう。
どのあたりで妥協点を見つけるかが、今後の課題だ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。
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