
外国人人材の受け入れを阻む「営業の壁」 登録支援機関を支える新たな分業の形
深刻な人手不足を背景に、外国人労働者の受け入れが進んでいる。しかし、企業と人材をつなぐ登録支援機関の多くは支援業務に追われ、新規開拓営業に手が回らないという課題を抱えている。そうしたなか、Tradee株式会社は、外国人人材領域に特化した営業代行サービスを展開している。外国人労働者の受け入れを巡る現状と、同社の今後の事業展望について聞いた。
年々高まる外国人人材の需要と支援機関のジレンマ
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、さまざまな産業で労働力不足が顕在化している。こうした状況を補うため、「特定技能」をはじめとする外国人人材の受け入れニーズは年々高まっている。
しかし、実際に外国人人材と受け入れ企業をマッチングし、日本での生活や就労をサポートする「登録支援機関」の現場では、リソース不足が常態化している。ビザの申請手続きから入国後の生活支援、受け入れ先との調整まで、多岐にわたる実務に時間を割く結果、新たな受け入れ企業を開拓するための営業活動にまで手が回らないのが実情である。
同社によると、アプローチ方法や営業ノウハウの不足に悩む支援機関は少なくないという。また、在留資格制度が複雑であるため、受け入れ企業側の理解が追いついていないケースも多い。マッチングを成立させるには、制度と実務の双方に関する専門的な知識が求められるという構造的な課題も存在している。
全社1位の営業成績から見出した「社会的意義」

Tradeeの代表取締役を務める佐藤世浩氏は、かつて検査機器メーカーで高い営業成績を収めた経歴を持つ。同氏によると、物事を迅速に判断し、熱量を持って行動することで実績を積み上げてきたという。
その後、「稼ぐこと」に特化した会社員としての働き方から離れ、自ら事業を立ち上げる道へと進んだ。その転機となったのが「特定技能」制度の創設である。特定技能人材と受け入れ企業を結ぶプラットフォーム事業や、登録支援機関としての実務を経験したことが、現在の事業基盤となっていると話す。
現在、同氏が事業を展開するうえで重視しているのが、「社会的意義があるかどうか」である。営利の追求だけでなく、関わる人が一人でも豊かになる仕組みをつくることが重要だと位置づけている。もっとも、個人の高い営業力や情熱に依存する属人的なアプローチだけでは、業界全体に広がる慢性的なリソース不足を根本的に解決するには限界もある。
「Visa@po」が提案する営業活動の分業
こうした業界の課題に対して、同社が展開しているのが、外国人人材領域に特化した営業代行サービス「Visa@po(ビザアポ)」である。登録支援機関などに代わり、受け入れ先となる企業へのアプローチや商談機会の獲得を支援する仕組みだ。
営業活動を外部に委託することで、支援機関が本来の業務である外国人人材のサポートに、より多くの時間を充てられる体制を目指している。
同社は、スタートアップから上場企業まで、それぞれの課題に応じた提案を進めているという。一方で、外部委託によって一時的にマッチング数や商談数が増加したとしても、受け入れ後の長期的な定着率やサポートの質を維持できるかどうかは、今後検証が必要な点として残されている。
「3者が豊かになる」関係の構築へ

同社がビジョンとして掲げているのは、「関わる人々の生活を豊かに」という理念である。登録支援機関と企業をつなぎ、外国人人材が日本で働きやすい環境づくりを目指している。
「日本で働きたい外国人人材」「人手不足に悩む企業」「登録支援機関」という3者にとって有益な取り組みを進めることで、より多くの就業機会を創出し、社会への貢献を図っていくと説明する。佐藤氏は「熱量を持って、まずは行動することが大事」と語り、今後も既存事業を展開しながら、関わる人々の生活を豊かにすることに注力すると話す。
外国人人材の受け入れは、単なる労働力の補填にとどまらず、日本社会全体の持続可能性に関わる重要なテーマとなっている。ただし、制度の整備や支援機関の体制強化が実効性を伴って進むかどうかについては、依然として不透明な部分も多い。営業活動の分業が、受け入れ企業の拡大だけでなく、外国人人材の定着や支援の質の向上にどこまでつながるのかが、今後の焦点となる。
【取材協力】
Tradee株式会社
代表取締役 佐藤世浩氏
https://tradee.co.jp/
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